Black Beast.
誰もいない廊下をゆっくり歩いて、
誰もいない教室のドアを開けた。
静まり返った教室内に響く
自分の足音がどこか心地よくて、
だけど、何かおかしい気がした。
再度廊下に出て、教室を間違えて
いないか確認するものの、
この教室は1年5組で間違いなかった。
・・・・もしかして、夢?
昨日のことも実は夢だったりして
これもその夢だったりするんだろうか。
私にとって衝撃的すぎた昨日の出来事も
夢ならまだ受け入れられる。
「 ・・・・っ 」
夢なら覚めるだろうと頬を抓ってみたものの、その痛みと、これが現実だという事実に
泣き出しそうになった。
1年5組、私のクラスは今
生物室で生物の授業中のはずで、
確か今日は欠席が居なかった。
つまり、この教室に居るのは
生物室から戻ってきた私だけのはずだ。
それなのに、静かな教室内に響く
規則正しい寝息は私の席に突っ伏して
寝ている男の人のものだった。