Black Beast.
「 別に深く考えなくていいよ。
逃げようとか思う前に
俺がアンタを追い込んだんだし、
それに最初に言ったと思うんだけど 」
「 ・・・・? 」
さっきまで前を歩いていた3人は
いつの間にかいなくなっていて、
彼は窓の外を見ながら廊下を
進んで行く。
階段の前まで来て、再度私を
見下ろした彼は小さく溜息を零した。
「 ”もしまだ傍に居たいと思うなら
強くならないとね?” 」
────────────”ほら、強くなる近道”
彼の声が階段に響いて、
耳の奥で熱を持った。
”もしかして”と彼を見上げると
もう彼は私を見ていなくて、
考えている間に屋上のドアを
蹴り開けた彼が少し歩いたところで
私を降ろし、肩を押した。