Black Beast.



「 どォ?ハッピーエンドは
  迎えられそう? 」



苦しそうに息をするケイスケが
鉄パイプへと伸ばした手を
横から出てきたスナオが
私たちに見せ付けるように
ギリギリと踏み躙った。



「 ッてぇ・・・スナオ! 」



痛みに耐えながら声を搾り出した
ケイスケの手からは血が滲んでいて、
怒りを含んだ声にスナオは
笑いながら足を退けた。



「 ヘラヘラ笑いながら喧嘩するような
 ”狂犬”が、殺気にビビるの? 」


「 ・・・・・っ 」


「 お前も病院送りにしてやろうか? 」



”役立たず”と吐き捨てた彼の声は
今さっきまでの声よりも遥かに低く、
聞いているだけで背筋が凍りついた。



そんな2人のやり取りを目の前に
玲央くんは私を自分から剥がすと
”逃げろ”とでも言うように
強く手を握った後、パッと離し、
顎で屋上から出るドアの方を差した。



あれだけの人数が居たのに、
気付けばみんな倒れていて、
大勇くんたちも遠くからでも
分かるくらい制服に血がついていて、
ケガをしているのかふらついていた。



「 ・・・・柚菜 」


「 で、でも・・・ッ 」



静かに名前を呼ばれて、戸惑う。
正解が、答えが分からない。



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