Black Beast.



「 片手なんて・・・余裕なんだね? 」



口元に血を滲ませながら
そう言って私たちを睨んだ。



途中、躓いた私を見て
溜息を零した彼は片腕で
軽々と私を抱き上げると
急に走り出した。



「 れ、玲央くっ・・・ 」


「 落とさねぇよ。
  黙ってろ 」



腰に回された逞しい腕に
ぎゅっと力を入れられて
強張っていた体から力を抜いた。










「 ッ・・・痛ぅ・・・ 」




膝をつき、立ち上がりかけていた
スナオの目の前まで来ると、
玲央くんは片足でスナオの
肩を踏みつけた。




仰向けに倒れこんだスナオの肩に
ジワジワと重みを掛けていく
玲央くんは痛がるスナオを
冷めた目で見下ろしていた。




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