Black Beast.
それはこっちが聞きたい。
なんて言えるわけもなく、
「 北城柚菜です 」
普通に質問に答えた。
眠そうに欠伸をする彼の手は
まだ私の手を掴んでいて、
ふーん・・と名前になんて
興味がなさそうな返事に
心の中でこれでもかってくらいに
文句を言ってやった。
「 帰る準備しろ 」
「 ・・・・ 」
「 聞こえてんだろ。
早くしろ 」
どうやら間違えて私の席で
寝ていたわけではないらしい。
というか、もしかして
もしかしなくても私に
用があった・・・みたいな感じがする。
「 つーか、鞄持ってんな。
じゃあ行くぞ 」
チラリと私の鞄を見てそう言った彼は
手を掴んだまま立ち上がり歩き出した。
昨日も同じようなことがあった気がする。
そう思いながらも知らない人に黙って
ついて行ってる自分が情けなくて
逃げる方法を考えているうちに
屋上まで来ていた。