Black Beast.



スナオの声を遮るほど
大きな音を出した本人は
玲央くんに睨まれて
サッと希くんの後ろへ隠れて、
手に持っていたものを希くんに
持たせた。



「 ・・・・璃玖? 」


「 璃玖、無駄な抵抗はやめろ 」



大勇くんに蹴られた足は
スナオの肩から下ろされ、
ケイスケ同様、ぐったりと
倒れこんだスナオから意識が逸れたのか、
玲央くんの目には璃玖くんしか
映っていないようだった。



「 まぁ、これは痛いわ・・・ 」



希くんが鉄パイプに視線を落としながら
璃玖くんの前から退くと、
玲央くんはゆっくりと
璃玖くんの方へ近づいていった。



ぴったりとひっついていた私は
その場に降ろされて、座り込みそうになるのを
”危ねっ”とどこから出てきたのか
すずくんが支えてくれた。



「 アレ、どうしたの? 」



軽く背中に添えられた手はやっぱり
大きくて、男らしい。
みんなより遅れて来たすずくんは
状況がよく分からないらしく、
玲央くんに首根っこを掴まれた
璃玖くんを見て首を傾げていた。



私はそんなすずくんに
”璃玖くんが玲央くんの頭を
  鉄パイプで殴ったの”とだけ伝えて
ガキ大将のような玲央くんの元へ
ふらふらな足取りで向かった。



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