Black Beast.
「 ・・・・玲央くんっ 」
いつもと変わらない風景に
正直ホッとしてる自分がいる。
今さっきまで冷たい目をしていた
彼は、もう殺気なんて放ってなくて、
璃玖くんを小突いていた腕に
手を添えると、玲央くんは
璃玖くんから手を離し、私の方へ
体を向けた。
「 血が・・・ 」
「 ・・・・・ 」
「 手当てしないと・・! 」
私を黙って見下ろす玲央くんの額は
さっき殴られたときに傷口が少し
開いたらしく、血が滲んでいた。
乾いた赤黒い血に混じって
滲んでいる血を見上げ
”病院に行かないと”と
拓未くんのことも考えながら
玲央くんの腕を引くと、
倍以上の力で腕を引かれた。