Black Beast.



・・・中学3年、夏のことだった。



前から続いていた小さな嫌がらせは
エスカレートするわけでもなく、
だからと言ってなくなるわけもなく、
相当暇な人がやっているんだろうと
思っていた。



周りの人に何か聞かれても
”気にしてない”と答えることで、
私に嫌がらせが通じてないと
やっている本人に伝えているつもりだった。



「 あのね、柚菜・・・ 」



きっかけは些細なことだった。
地味な私が派手な3人に混じって
逆に目立っていることには
気付いていたけど、だからといって
嫌われているとか、そういう気は
全くと言っていいほどしてなかった。



3人が私のいないところで
私の悪口を言っていると、
3人と仲の良いクラスメートに聞いて、
ヘラッと笑っていられるほど
私は強くなかった。



それでも、3人の前ではいつも通り
”私”で居たつもりだった。



ただ、その日を境に3人と自分との距離が
すごく遠く感じてしまって、
気付けば自分から距離をとるようになっていた。



続いていた小さな嫌がらせも、なんだか
すごく苦しく感じてきて
授業に出ない日が続いたある日、
同じ子から嫌がらせの犯人を知らされた。



それは本当に絶妙のタイミングで、
”今まで何だったの”と涙と一緒に
込み上がってきたのは女子中学生らしい
私(子ども)の感情だった。



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