Black Beast.
それらしく撮ったから、
それらしく見える。
ただそれだけなのに
私に向けられた視線は
哀れむようなものじゃなくて、
汚いものを見るような、
冷たいものでしかなかった。
吐き気がして、咄嗟に
飛び出した教室からは
悲鳴に混じって笑い声が聞こえた。
振り切るように玄関に向かって
走る私を、他の学年、クラスの
生徒たちはさっきの人たちと同じ目で
私を見ていた。
全部違う写真が、全クラスに
貼り出されていた。と
家に掛かってきた担任の先生からの
電話で知った私は、それから
学校に行かなくなった。
誰も私を知らないような
遠いところにある高校に行こう。
もう私にはそれしかなくて、
だけどそれを実現するには
学校に行かなくちゃいけなくて。
人に見つからない時間に
裏口から学校へ入り、
保健室のカーテンで仕切られた中で
こっそり先生に勉強を教わる。
そんな毎日が当たり前になっていた。