Black Beast.
「 どうして自分なのか、って
あの質問・・・覚えてるか? 」
「 ?・・・うん 」
「 お前の気持ちなんか考えもしないで
俺の気持ち押し付けて、
嫌われてると思ってたんだよ。
それ聞いたとき正直お前が
何言ってるか理解できなかった 」
そう言って長い溜息を零した玲央くんは
パッと顔を上げると、片手で私の
背中を抱きながら、空いた手で
私の顎を掴み、顔を上へ向かされた。
「 ・・・・・お前の気持ちは? 」
「 ・・・・・ふぇ? 」
「 ・・・柚菜は、何で俺と付き合ってんの 」
ムスッとした顔は少し赤くて、
正直それこそ何を聞かれてるか
理解ができなかったけど、
少しして”あぁ、なるほど”と
内心納得した私は、玲央くんの目を見て、
込み上げて来た言葉をそのまま口に出した。
「 ───────────好き、・・・大好き 」
恥ずかしくて、少し目を逸らして、
だけどこれじゃだめだって、再度
目を見てそう言うと、私の顎を
掴んでいた手をパッと離した玲央くんは
そのまま顔を覆って、”バカ”と
小さく呟いた。