Black Beast.




「 どうして自分なのか、って
  あの質問・・・覚えてるか? 」


「 ?・・・うん 」


「 お前の気持ちなんか考えもしないで
  俺の気持ち押し付けて、
  嫌われてると思ってたんだよ。
  それ聞いたとき正直お前が
  何言ってるか理解できなかった 」




そう言って長い溜息を零した玲央くんは
パッと顔を上げると、片手で私の
背中を抱きながら、空いた手で
私の顎を掴み、顔を上へ向かされた。





「 ・・・・・お前の気持ちは? 」


「 ・・・・・ふぇ? 」


「 ・・・柚菜は、何で俺と付き合ってんの 」




ムスッとした顔は少し赤くて、
正直それこそ何を聞かれてるか
理解ができなかったけど、
少しして”あぁ、なるほど”と
内心納得した私は、玲央くんの目を見て、
込み上げて来た言葉をそのまま口に出した。













「 ───────────好き、・・・大好き 」




恥ずかしくて、少し目を逸らして、
だけどこれじゃだめだって、再度
目を見てそう言うと、私の顎を
掴んでいた手をパッと離した玲央くんは
そのまま顔を覆って、”バカ”と
小さく呟いた。




< 216 / 336 >

この作品をシェア

pagetop