Black Beast.
口元を手で覆った玲央くんは
斜め下へ視線を向けたまま
息を吐き出し、顔を上げた玲央くんの
表情は拗ねた子どもみたいだった。
「 多分、お前が初めてこっちに
来たとき、俺・・会ってんだよ 」
「 ・・・・うん? 」
「 体小さいくせにやたらデカい
荷物持ったのが居ると思ってたら
気難しそうな顔してて、
なんか危なっかしくて目離せなくて、
あー・・・・だから、
──────────一目惚れ・・ 」
”ってやつ”と、遅れて言った彼は
ボスンッ、と再度私の肩に顔を埋めた。
「 何でお前、って聞かれても
よく分かんねぇ。
傍に置いときたいと思ったから。
じゃ、答えになんねぇ? 」
無表情、無口なこの人が
ここまで顔を赤くすることって
あるのかな。
すごく珍しいものを見たような気がする。