Black Beast.
「 俺も一緒に行くか? 」
なかなか玲央くんから
離れない私にそう言って
髪を撫でられて、ここが
女子トイレの前だって気付いた。
頭の上に乗っかっていた手を
持ち上げて退かして、
トイレに入り、水を出す。
しばらく流れていく水に
視線を落としていた私は
目の前の大きな鏡に目を映して
お化け屋敷にでも居るかのように
ビクッと肩を上げた。
・・・・これは、確かに。
「 ひどい顔・・・ 」
顔を洗ってどうにかなるとは
とても思えないけど、それでも
少しはマシになるのかな・・・。
思わず溜息を零しながらも
顔を洗って、そこでやっと
目が覚めた。
・・・というか、スッキリした。
喉はまだヒリヒリするし、
目元も赤く腫れているけど
仕方ない・・・とトイレから出ると
廊下の壁に背中をつけて、
腕を組んだ玲央くんが目に入った。