Black Beast.



「 泣いたんだろ? 」


「 ・・・・うん 」


「 大丈夫じゃないじゃん 」


「 もう、大丈夫だよ? 」



腫れた目元を見て眉を寄せた
拓未くんにそう言うと、
”ふーん”と気のない返事が返ってきた。



それからしばらく目も合わせず、
なんの会話もなかったのに、
突然拓未くんがふっ、と笑って
私の頭をポンッ、と叩いたかと思うと
優しく撫でられた。













「 ────────・・ありがとな 」






”心配、してくれて”






柔らかい笑顔でそう言われて、
胸の奥がぎゅうっと締め付けられるような、
なんだかすごく切ない気持ちになった。






< 225 / 336 >

この作品をシェア

pagetop