Black Beast.
「 折角来たんだから
ゆっくりして行けよ~! 」
「 きゃっ!! 」
グイッと私の手から持っていた
鞄を奪い取った男の子は
私の前に立ち、むっとした顔で
私を見てきた。
「 か、鞄・・・ 」
「 ここに居るなら返す! 」
・・・・・子ども・・・。
大勇くんや、拓未くん、
私をここまで連れて来た
玲央と呼ばれていた彼は
身長が高く、威圧感があった。
けど、今目の前に居るこの子は
私よりは身長が高いけど
周りの人たちに比べると大分小さく
更にこの表情・・・。
「 ───────────可愛い・・・ 」
ぼそり、と思わず口から零れた
一言に彼はビシッと固まり、
持っていた私の鞄を落とした。
それから暫く屋上には男の人の
笑い声が響き渡っていた。