Black Beast.
「 ・・・・っらぁ!!!!! 」
「 ぎゃあああっ!!! 」
バシャーンッ、と大きな音をたてて
頭から落ちたすずくんは
水の中から顔を出し片手で髪をかき上げると
ケラケラと楽しそうに笑っていた。
この光景をもう何度も見ている私は
既に止める気なんて失せていて、
ピンク色の浮き輪に体を預けたまま
人の邪魔にならないように泳いでいた。
・・・・もちろん、他人のフリをして。
「 希!もー1回!! 」
「 ちょっとは休ませろよ・・・ 」
「 じゃ、拓未! 」
「 ・・・あー、喉渇いたな~ 」
「 あっ!こら、逃げるな! 」
沖の方から戻ってきたすずくんが
遠ざかっていく拓未くんの背中を
寂しそうな目で追っていた。
そんなすずくんの子犬みたいな目を見て、
大勇くんが立ち上がると、”行くぞ!”と
それだけ言って、すずくんを抱き上げると
思いっきり投げ飛ばした。
”これぞ、男の遊び”だと
希くんは言っていたけど、
さすがに疲れたらしくぐったりと
浜辺に寝そべっていた。