Black Beast.



「 ゆーずーなっ 」



いつの間にか沖の方へ来ていた
私のところまで泳いできたすずくんは
浮き輪に片手をつき、足のつくところまで
連れて行ってくれた。



「 楽しい?すずくん 」


「 楽しいよ~!俺もこういうところで
  育ちたかった! 」


「 そうかな?私はあっちの方が
  よかったな~ 」


「 え~!絶対こっちの方がいいよっ 」



”海あるし!”と海を見渡しながら
眩しいくらいの笑顔でそう言われた。



視界いっぱいに広がる空と海。
すぐ傍で小学生くらいの子どもたちが
はしゃいでいる海の中に、私も居た。



確実に浮いているすずくんたちと
距離をとっていたものの、
私が泳げないことを知っていて
ここまで連れてきてくれた。



周りには地元の人たちや
少しの観光客が居て、
その辺の視線は確実に
こっちに向いているのが分かる。



背が高くて、かっこいい。



一見モデルのような人たちは
黙っていればそれっぽく見える。
最初はキラキラした目で彼らを
見ていた人たちは、ビクビクと
怯えていた。



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