Black Beast.
心臓が、破裂しそう。
2人きりなんて初めてじゃない。
こうやって抱きしめられるのも、
耳元で話されるのも。
・・・・・だけど、それは。
「 どうした? 」
「 ・・・・・ッ 」
「 顔、赤いけど、のぼせた? 」
顔を覗きこまれて、目が合う。
耳まで赤くなってるんじゃないかってくらい
顔が熱くて、パッと目を逸らした。
今までは、自分の気持ちが
よく分かっていなかった。
”好き”なんて考えてなかったし、
玲央くんの傍に居ることが精一杯で
気持ちは後回しになっていた。
大泣きした後で、ぼんやりしてたとは言え、
面と向かって”好き”なんて・・・・。
あれから随分と経ったけど
以前のように2人きりになって話すたび
そのことが頭を過ぎってしまって
恥ずかしくて仕方ない。
”どうしよう”と、そればかり
ぐるぐると考えていた私から
玲央くんはそっと離れると
グイッ、と私の腕を引っ張って
体ごと自分の方へ向かせると
片手を私の後頭部に添えると
目を逸らすよりも先に一気に
距離を詰めてきた。