Black Beast.



不思議そうな顔をしている玲央くんから
顔を逸らし、内心小さく溜息を吐く。
サッと帯を結びなおして、
玲央くんの腕を引いて起き上がらせた。



「 みんな、もう行ってるかな? 」



これ以上考えるのはやめておこう。と
玲央くんに話しかけると
ガシガシと髪をかきながら
”さぁ”と気のない返事が返ってきた。



乱れた髪を軽く整えて、
”早く行こう”とドアの前に立つと
玲央くんがドアに手をあてて
私の耳元で囁いた。



「 ・・・・ムカつく 」



ビクッと肩を上げた私の耳をカリッと
少し強めに噛むと、玲央くんは
何も言わずに部屋から出て行ってしまった。



ジンジンと痛む耳は熱を持っていて、
片手で押さえながら、私はきゅっ、と
下唇を噛んだ。



・・・・私が、悪い。



それが分かっているから
抵抗しようとも、怒ろうとも思わなかった。






─────────────ガラッ



「 柚菜ちゃー・・って、居るじゃん!
  もうみんなお腹空かせて待ってるよ? 」



和室に似合う引き戸が開いて、
ひょっこり顔を出した大勇くんは
すぐ目の前に居た私を見て驚いていた。



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