Black Beast.



「 この子、あの時のあの子じゃん 」


「 あの時? 」



”懐かしい顔だな”なんて
その人は言いながら、
私の目の前にしゃがんだ。



「 ほら、真野に頼まれて
  連れ去った子 」


「 あ~!!! 」


「 言われてみると・・確かに 」



6人。



あの時も、今も。
目の前に居るのは6人だ。



悲鳴でもあげそうな私を見て
何か悪いことでも思いついたように
男の人が目を細めて、私に近づいてきた。



「 あの時は中学生相手だったから
  何もしなかったんだけど、
  今、高校生だよね? 」


「 お前なに考えてんだよ~ 」



聞いただけで、嗅いだだけで、
吐き気がするような声と匂い。



いっそのこと意識を失ってしまいたい。



そんなことを思っていたら
ニヤニヤとした男の顔がすぐ目の前で
”捕まえちゃった”と、私の腕を掴んだ。



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