Black Beast.
なんだろう。
すごく、モヤモヤする。
「 あ、玲央~!
飲み物なににする? 」
大広間の手前で大勇くんが
私たちを見つけて手を振ってきた。
そんな大勇くんの前には女将さんが1人。
「 オレンジ 」
「 柚菜ちゃんは? 」
「 あ、私も同じので 」
女将さんは”失礼します”と
頭を下げ、足早に去っていった。
「 柚菜ちゃん、また喧嘩? 」
「 え?なんで? 」
「 ムッとしてるよ 」
「 ?・・・・そう、かな 」
手を離し、大広間に入っていく
玲央くんを追おうとした私は
そう言われて両手で頬を軽く叩いた。
寝起きだからそう思われるのかな、と
首を傾げつつ、頭を過ぎったのは
女将さんの赤く染まった顔。
玲央くんを見るなりポッと頬を赤く染めて、
可愛いなって思ってしまった。
玲央くん、モテるんだ。
すずくんたちと朝食の取り合いをする
玲央くんを横目に、やっぱりなにか
モヤモヤする胸をそっと押さえていた。