Black Beast.



遊園地と言うにはあまりにも
全ての乗り物が小さくて、
きっとガッカリするだろう。



地元の子ども達に紛れて
走り出した金髪を見ながら
”ごめんね”と先に心の中で
謝っておいた。



「 なぁ 」


「 ん? 」


「 これ、持って来た意味は? 」



旅館を出る前から玲央くんが
私の荷物を持っていてくれて、
玲央くんは2人分の荷物を
顔の横まで上げて首を傾げていた。



「 遊園地って言うより、
  プールだから・・・ 」


「 は? 」



私と玲央くんを置いて、みんなは
先に中へ入ってしまった。



みんなの背中を追いかけながら
玲央くんにだけ、と入るときにもらった
パンフレットに書かれたプールを指差す。



「 ここは、これが売りなの 」


「 ・・・・プール? 」


「 うん。だから、その辺の乗り物は
  飾りみたいな感じ・・・なのかな?
  子どもが楽しめるところだから
  みんなが知ってる遊園地とは
  大分違うと思う・・・ 」



”田舎だから”と付け足した私を見て
ふっ、と笑った彼は”気にすんな”と
早速乗り物に乗っているすずくんを
指差した。



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