Black Beast.
「 玲央ー!柚菜ー! 」
すずくんの隣には璃玖くんが
乗っていて、何食わぬ顔して
こっちを見ていた。
楽しそうに手を振ってるすずくんは
多分、気付いていないだろう。
「 アレで落ちてんのか 」
アレで、終わりだってことに。
「 うん・・・子ども向けだから・・ 」
「 絶対気付いてねーな、アイツ 」
バカにするように鼻で笑いながら
すずくんたちが乗っていた
ジェットコースター乗り場の
出口へ向かった。
「 ・・・・え、なにこれ 」
きょとん、としているのは璃玖くんだった。
子どもに混ざって出てきた彼は
今さっきまで自分が乗っていたソレを
ぼんやり見上げて、”え・・・”と
眉を寄せていた。
「 あ、柚菜! 」
そんな璃玖くんの後ろから
ひょっこり顔を出したすずくんは
周りの子どもたちと変わらず
楽しそうに笑っていて、今度は
私がきょとん、としてしまう。
・・・・あれ?ガッカリしてない・・・?