Black Beast.



「 これ、超面白い! 」



一緒に乗ろう、と腕を引っ張られて
玲央くんと顔を見合わせて
笑ってしまった。



「 だから言っただろ。
  気にすんなって。
  すずは中身が相当ガキだからな 」



ボソッと私の耳元で玲央くんにそう言われて
苦笑して返すと、今度はあっちだと
気付けばすずくんと一緒に走っていた。



有名な遊園地の売りはこういう
絶叫系の乗り物だと思う。
1回だけ、行ったことがあるそこと
ここの違いは”大きさ”だ。



懐かしい風景をぼんやり眺めながら
すずくんについて走っていると、
気付けばもう既に乗っていて、
耳を塞ぎたくなるようなブザー音の後、
大きな音を立ててそれは動き出した。



「 海見ながらのバイキング!
  俺初めて! 」



1番端っこに座っているのに
気付いたときにはもう既に揺れ始めていて、
子どもの楽しそうな声に
私の絶叫が混じっていた。



海を見る余裕なんてあるはずもなく、
目を閉じてとにかくぎゅっとレバーを
掴んでいた。



「 ・・・あれ、柚菜? 」



思った以上に楽しんでくれているようで、
なんとなく嬉しいけれど・・・
まさか、一緒に乗り回すなんて
思ってもみなかった。



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