Black Beast.
浮遊感に足がガクガクする中、
ヘラッと”大丈夫だよ”と
笑ってみせるけど、これ以上はさすがに
耐えられそうにない。
「 す、すずくん・・・ 」
「 なに~? 」
「 みんなは、どこだろう? 」
ベンチに座って足を押さえながら
すずくんを見ると、
”あ、ほんとだ”と完全に
みんなの存在を忘れていたらしい。
「 電話してみる~ 」
「 あっ!玲央くん! 」
「 え?・・・・っと 」
携帯を耳にあてて立ち上がった
玲央くんを止めようと伸ばした手は
空気を掴んで、ドンッとすずくんは
人にぶつかってしまった。
カシャンッ、と音をたてて
足元に落ちた携帯に
すずくんはしばらく目を落としていた。
「 すずくん? 」
「 あ、電話 」
”してる途中だった”と
携帯を拾い上げようとした
すずくんの手の上に、足が乗っかった。
「 電話の前に何かねぇの? 」
すずくんがぶつかってしまったのは
運悪く、不良だった。