Black Beast.
「 柚菜、ケガは? 」
「 だ、大丈夫・・・ 」
もう遠くへ行ってしまった
2人の背中を見ていたら
ポンッと頭の上に手が乗っかってきた。
「 ・・・めんどくせぇのが多いな 」
呻いている人たちを見下ろしながら
ボソッとそう言って、私の手を掴むと
大勇くんたちの背中を追いかけて
ゆっくり歩き出した。
「 ったく、ガキみたいに
走り回ってんじゃねーよ 」
呆れたような顔で叱られて
ごめんなさい、と謝ると
何も言わずに頭を撫でられた。
プールの手前のベンチに
腰掛けているすずくんの周りには
探しても見つからなかったみんなが居て、
ニヤニヤとすずくんをみんなで
いじめているようだった。
「 ・・・・すずくん! 」
事情を聞いたらしいみんなは
”ほら!”とすずくんの背中を
バシバシ叩いていて、すずくんは
ムッとしながらも私の目の前まで来ると、
きゅっと私の手を握った。