Black Beast.




「 ごめん・・・ケガ、ない? 」




しょぼん、としたすずくんは
子犬みたいに目を潤ませていて。




「 ~~~~ッ 」




可愛い。




「 柚菜? 」




声にならない声を上げながら
ぎゅっ、と手を握り返すと
不思議そうにすずくんが顔を上げた。




「 私は大丈夫だよ。
  守ってくれてありがとう、すずくん 」




抱きつきたい衝動を必死に抑えて
すずくんに笑いかけると、
パッと明るい顔をしたすずくんが
”うん!”と子どもみたいに大きく頷いた。




「 プール行こ!!!! 」




みんなの方を振り返ったすずくんは
もうすっかりいつものすずくんで、
みんなは吹き出しながら”おう”と
返事をして、すずくんを先頭に
プールに向かった。




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