Black Beast.
♯19.涙の理由
1日目、2日目と
あっという間に気付けば3日目。
「 ・・・おはよう、玲央くん 」
あぁ、もう明日帰らなきゃいけないんだ。
そう考えると少し寂しくて、
隣で寝息をたてて眠る玲央くんに
そっとキスをした。
迷惑かけてごめんね、と
昨日みんなに謝ったら
”寧ろ嬉しいから、
もっと迷惑かけていいよ”と
予想外な返事が返って来て、
思わず苦笑してしまったけど、
本当はすごくすごく嬉しかった。
夏休みとは言っても、補習はあるし
みんなに会えなくなるわけじゃない。
それでもやっぱり、楽しい旅行が
終わるのは嫌だし、寂しい。
玲央くんを起こさないように
身体に巻きついていた腕をそっと
退かしてゆっくり布団から出た。
時間はまだ朝の6時過ぎ。
大分早くに目が覚めたなと思いつつ、
どうせなら、とお風呂の準備をして
部屋を出た。
部屋のお風呂に昨日入ったけど
部屋の中から丸見えで、
・・・・・・色々と大変だった。
入ってる途中に起きちゃったら
どうしようもないし、と
大浴場に向かう。
こんな早くからお風呂に入る人なんて
いないだろうと思っていたら、
中から女の人の声が聞こえてきた。