Black Beast.




旅行3日目。
私は部屋から出ないで
1日、ぐったりと寝ていた。




玲央くんも一緒に残るから、と
2人でみんなを送り出して数時間、
苦しくて、苦しくて、泣いて、
泣き止んで、また泣いてを繰り返していた。











「 柚菜、水 」


「 ・・・・・ 」


「 ・・・・こっち向け 」




何も口に入れたくないと
首を振っていたら、小さく
息を零した彼にそう言われて
枕に突っ伏していた顔を
そっと上げて玲央くんの方を向いた。




「 ッん・・・・!!! 」




ペットボトルを片手に、
玲央くんに口を塞がれたと思ったら
喉の奥に水が流れ込んできて
戻しそうになるのを玲央くんは押し込み、
ゴクン、と飲み込んだところで
やっと口を離してくれた。




「 ・・・・飲ませるのも疲れるな。
  自分で飲め。苦しいの嫌だろ 」




濡れた唇を袖で拭いながらそう言われて
仕方なくペットボトルの水を
少し飲んだ。




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