Black Beast.



どうしたんだと聞かれても
何も答えられない。



言葉にできない感情しか
私の中にはなくて、
なんだかそれが苦しくて。



どこかで何かが詰まっているような、
そんな感覚だった。



眠れもしなくて、長い時間を
ただ寝て過ごしていたら
添い寝するみたいに隣に
玲央くんが寝てきて、
何も言わず私の髪を撫でると
額にキスを落とされた。



「 腹、へってないか? 」


「 ・・・ん 」


「 ん、でも夜は食えよ? 」


「 ・・・・ 」


「 嫌っつっても食わせるけど 」



苦笑交じりにそう言って、
”まぁ、ゆっくりすればいい”って
前髪を撫でられる。



「 柚菜? 」



玲央くんに手を伸ばしたら
手を掴んで、グイッと
身体を起こさせてくれた。



熱があるわけでもないのに
ぼうっとした頭の中に
ずっとずっとぐるぐるしている
言葉があって。



< 305 / 336 >

この作品をシェア

pagetop