Black Beast.




それから、海に居た人たちが
昨日玲央くんのことを
見ていたことと、朝会ったこと、
話しかけられたことを話した。




何も言わずに黙って聞いていた玲央くんは
私を抱きしめながら、背中を擦ってくれて
なんだか自分がすごく子どもみたいで、
嫌になってくる。




「 ・・・・な、 」




離れよう、と顔を上げると
私の肩に顔を埋めていた玲央くんは
なんでか真っ赤になっていて、
驚きすぎて、そのまま固まってしまう。




「 玲央くん・・・? 」


「 いきなり顔上げんなよ 」




こんな顔、見るの初めてかもしれない。




ぎゅっ、と抱きしめられて
再度私の肩に顔を埋めながら
玲央くんがボソッと私を叱った。




「 柚菜 」


「 ・・・・うん? 」




なんだか、いつもの私と玲央くんが
逆になっているみたいで、
少し嬉しくなった。




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