Black Beast.
「 玲央くん? 」
「 なに? 」
みんなが見えなくなって
しばらくして、私の手に
玲央くんの指が絡んできた。
手を繋いでいるというより
”引っ張られている”感じがして
首を傾げながらも、足を止めた。
「 そっち、玄関だよ? 」
「 知ってるけど 」
「 ・・・・へ? 」
部屋に戻るんじゃないの、って
言おうとしたときにはもう既に
外に出ていた。
私服のまま外に出て、
どこかに向かって歩く玲央くんに
黙ってついて行った。
波の音と、潮の匂い。
真っ暗な海辺をゆっくり
歩きながら、この3日間を
振り返っていた。
・・・・ろくなことがなかった。
なんて、内心苦笑しながらも
なんだかんだ言って
すごく楽しかったなって
ふっ、と小さく笑いを零すと
”なに笑ってんだ”って
玲央くんに小突かれた。