Black Beast.



「 どこ行くの? 」


「 もう少し 」


「 ・・・・・? 」



強めの風は生ぬるくて、
風に揺れる玲央くんの真っ黒な髪は
これだけ暗い外じゃあまり見えない。



確実に灯りのない方へ
向かっているのに気付いて
足取りが重くなる私を、
引きずりながら玲央くんは歩き続けた。



「 一昨日、適当にぶらぶら
  歩いてたんだけど 」


「 ?・・・・うん 」



玲央くんを追いかけて
出て行ったときのことか、と
玲央くんの話に頷いていたら、
急に足場が悪くなって、
ガシッと玲央くんの腕にしがみついた。



「 お前も、ここは知らねぇんじゃねーかと
  思ったんだけど・・・ 」




暗いトンネルみたいなところを
歩きながら、知ってるわけないよと
言い返そうとしていたら、
ガクン、と足を踏み外して、
玲央くんの背中に飛び込んでしまった。



落ちる。と思ったのに、
”痛ぇな”と言いながらも
がっしりと私を受け止めてくれていた。




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