Black Beast.




穴場ってこういうのを
言うんだろうなって
思いながら、目に焼き付けるように
ジッ、と全体を見つめていたら
後ろから玲央くんに抱き寄せられた。




「 気に入った? 」


「 ・・・うん、すごく 」




背中に感じる玲央くんの体温と、
目の前の綺麗な景色に
幸せしか感じられなくて、
今が永遠に続けばいいのに。って
その時ふと思った。




「 来年もまた来よう 」


「 ・・・・・ 」


「 再来年も、その次の年も 」


「 ・・・・うん 」




来るのが嫌だとか、
来なきゃよかったとは思わなかった。




ただここは、どこへ逃げても
嫌な思い出ばかり思い出すから
苦手なだけだったから。




「 もう、どこ行っても
  バカな思い出しか
  思い出さねーだろ 」




過去と向き合うことにまだ慣れなくて、
人に囲まれて過ごす毎日にも
正直まだ慣れていなくて。




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