Black Beast.
玲央くんとこうして触れ合うのも、
まだ慣れないから、心臓がうるさい。
「 ・・・そのために? 」
心臓の音に負けちゃいそうな
小さな声で問いかけると、
”さぁな”って小さく笑われた。
地元が嫌いで、
絶対に帰りたくなくて。
こんな形じゃないときっと
帰ってくることも、
過去と向き合うこともなかった。
ああ、そっか。って
玲央くんの顔を見てやっと分かった。
「 みんな、もう全部知ってるんだね 」
詳しくは玲央くんしか知らないって
璃玖くんは言ってたけど、
きっと、みんな・・・・
「 柚菜 」
みんな、知っていても私に
いつも通り接してくれて、
私が乗り越えられるよう
ここまで一緒に来てくれたんだ。
ボロボロと、気付けば目から
涙が溢れ出していた。