Black Beast.




切なく私を呼ぶ声に
私は体の向きを変えて、
玲央くんに抱きついた。




「 玲央くん、・・玲央くん・・・ッ 」




逃げるように遠い高校を選んで、
そこで玲央くんが見つけてくれなかったら、
私はきっと何も変われてなかった。




大勇くんや、拓未くん、
すずくん、璃玖くん、
希くんにもきっと、会えてなかった。




「 別に、泣かしに来たわけじゃ
  ないんだけどな 」




泣きじゃくる私の頭を苦笑しながら
優しく撫でたその手が、
そっと私の顎を掴む。




「 なぁ、柚菜 」




クイッと上を向かされて、
涙で濡れた私の頬に
チュッ、とキスを落とされる。




真っ暗な星空の下、
そこに私たちしかいないような
そんな気がした。




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