Black Beast.
「 な、なんだよ 」
パッと顔を上げた大勇は
俺と目が合うなり肩を上げて
軽く俺を睨んできた。
「 ・・・女か 」
ふっ、と自然と笑みが零れる。
寝不足と3日分の子守の疲れは
体がダルいどころじゃ済まなかった。
分かっていて絡んでくる大勇が悪い。
「 なに?気になるの? 」
八つ当たりしてやろうかと
百面相する大勇を見ていた俺は
自分の顔が引きつるのを感じた。
「 ・・・ぁあ? 」
「 いや、なんでもない 」
冗談冗談、とヘラッと笑いながら
立ち上がった大勇は、再度
俺の顔を覗きこんできた。
「 なんだよ 」
当たり前のように目の下には
クマができている。
気を抜いたらその場で寝てしまいそうなほど
正直、眠い。
今度は何を言うつもりだ、と
ジッと俺を見る大勇を見ていた俺は
これでもかってほどに近づいてきた
大勇の顔を片手で押し返した。