Black Beast.



「 大勇くん・・・ 」


「 あ、俺のこと知ってるの?
  今度遊ぼうね~ 」



頬を真っ赤に染めた彼女を離し
今度は私の目の前に立つと
温かい手が頬に添えられた。



「 う~ん・・・赤くなってるから
  保健室行こうか? 」


「 いえ・・・大丈夫です 」


「 遠慮しないで!
  可愛い女の子に優しく手当てするのが
  俺の生きがいなんだから! 」



ひょいっと私を抱き上げると
”大勇くん”と呼ばれた彼は
そのまま教室を出てしまった。



一緒に居たもう1人の彼を置いて
保健室に向かって廊下を進んで行く。



「 ああいう時は助けを呼ばないと
 だめだよ~。俺が止めなかったら
  絶対もう1発やられてたよ? 」


「 ・・・・ 」


「 まぁ、黙って見てる方も
  どうかしてるんだけどさ~ 」



当たり前のように集まる生徒の視線から
逃れるように顔を両手で覆うと、
”恥ずかしがりやさんなんだね”と
彼は笑っていた。



< 4 / 336 >

この作品をシェア

pagetop