Black Beast.
♯04.不良たちの作戦
「 あれ・・・柚菜ちゃん? 」
途中から璃玖くんも加わって、
4人で登校したものの、
午後の授業に間に合わなかった私たちは
静まり返った校舎内を歩いていた。
遅れて教室に入るのは苦手だけど
仕方ないし、と階段を上っていく
3人と別れて自分の教室へ足を向けた私を
大勇くんが呼び止めた。
「 ・・・・はい? 」
「 どこ行くの? 」
「 え・・・教室・・・ですけど 」
他に行くところがあるんですか、と
首を傾げると大勇くんが”偉いね”と
笑いながら階段を下りてきて、
私の手を掴むと再度階段を上りだした。
「 柚菜ちゃんの手、温かい~ 」
教室へ行こうとする私の手を
引っ張りながら上へ上へと連れて行く
大勇くんの一言にジワジワと顔が
熱くなっていく。
・・・さっきまで、カイロを持ったまま
手を繋いでいたから。なんて
言えるわけもなく、顔を見られないよう
下を向いて黙ってついて行った。
「 あっ!やっと来た~! 」
開けっ放しのドアの向こうから
すずくんの声が聞こえて、
その声が段々近づいてきているのは
分かっていたけど、顔を上げるわけには
いかなかった。