Black Beast.
「 ・・・あれ、そういえば珍しく
希が居るじゃん! 」
璃玖くんより少し暗い茶髪が
目に入った。
希と呼ばれた彼はダルいのか
拓未くんの背中にもたれ掛かっていた。
「 希、柚菜ちゃん来たぞ 」
「 ・・・・誰? 」
「 今話しただろ・・ 」
「 あー・・・ 」
掠れた低い声が屋上に響いて
すずくんは私を希くんの前に
座らせた。
こんなに寒いのに胸元のボタンが
外れていて、見てるだけでも寒い。
片手で顔を覆っている彼が指を
ズラして目だけ見えた。
「 ・・・・ど、どうも 」
「 あー・・・ 」
一瞬チラリと見えた目とバッチリ
目が合った気がしたけど、彼は
ダルそうに声を上げて今度は
両手で顔を覆った。
・・・・恥ずかしいわけではなさそうだし
どうしたんだろう。