Black Beast.



「 ごめんね、柚菜ちゃん。
  コイツ、立花希[タチバナ ノゾム] 」


「 あ・・・大丈夫なんですか? 」


「 あー、高所恐怖症なだけだから 」



大勇くんは私に彼の名前を教えた後、
拓未くんの苦笑交じりの一言に
向こうで爆笑していた。



・・・・高所恐怖症。



「 あれ?そういえば柚菜ちゃんも
  高所恐怖症じゃなかった? 」


「 そうですけど、ここまで酷くないので・・・ 」


「 あんなに震えてたのに? 」


「 あれは!・・・足がつかなかったから・・・ 」



屋上と言っても真下が見えるわけじゃない。
これだけ広いところで、足がついて、
下さえ見なければ大丈夫だ。



あの時のことを思い出したのか
お腹を抱えて笑い出した大勇くんを
キッと睨むと、”ごめんごめん”と
笑いながら謝られた。



「 はぁ・・・ 」


「 希が限界迎える前に話すぞ 」


「 作戦!? 」



すずくんがさっきから言ってる
”作戦”ってなんなんだろう。



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