Black Beast.




唇が触れる寸前に、
そっと目を閉じて彼を受け入れた。




たった3日で色んなことが起きて
その全てが無茶苦茶で、
私の思考も乱されていた。




何度かキスをされて、
目を開けたときには彼の腕の中に居た。
ぎゅっと抱きしめられて、無意識に
彼の背中に手を回して抱きしめ返していた。




「 巻き込んで悪い。
  けど、絶対に守ってやる 」




そう言った彼は再度私にキスをして、
”行くぞ”とあのビルに向けて
歩き出した。




表通りは相変わらず人が多くて、
それでも、そんな多くの人の前を
彼と手を繋いで歩くことに
抵抗を感じない自分が居た。




恥ずかしくない。




だって、この人が居てくれる。




「 絶対に手、離すなよ? 」




頷いた私を見て、ドアを開けた
彼の横顔はなんだか楽しそうに見えた。




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