Black Beast.
♯05.春と、進級



「 ・・・・信じらんねぇ 」



机に肩肘をついた玲央くんが
そう言って大きな溜息を零した。



それは突然の出来事だった。



「 あの・・・席に・・・ 」


「 え?ここ、ほら、席 」


「 ・・・そうね・・ 」



もうすぐ定年らしい新しい担任の先生と
私の隣の席に座る生徒との会話を
聞きながら苦笑するしかなかった。



玲央くんと私は無事
この春2年生になり、
私は相も変わらず窓側の1番後ろを
陣取った彼の隣の席に居る。



眉を下げた先生が不憫で仕方ない。



「 先生に迷惑かけちゃ
  だめですよ・・・ 」


「 っつーか、何やってんだよ・・ 」



満足気に頬を緩ませて私を見ている
隣の席の彼に私と玲央くんが
驚かないわけがなかった。



正直、未だに冗談だと思っている。



クラス替えの張り紙を玲央くんと見に行って
この教室に来て、それからずっと
見ないようにしていたけど・・・。



< 71 / 336 >

この作品をシェア

pagetop