Black Beast.
♯05.春と、進級
「 ・・・・信じらんねぇ 」
机に肩肘をついた玲央くんが
そう言って大きな溜息を零した。
それは突然の出来事だった。
「 あの・・・席に・・・ 」
「 え?ここ、ほら、席 」
「 ・・・そうね・・ 」
もうすぐ定年らしい新しい担任の先生と
私の隣の席に座る生徒との会話を
聞きながら苦笑するしかなかった。
玲央くんと私は無事
この春2年生になり、
私は相も変わらず窓側の1番後ろを
陣取った彼の隣の席に居る。
眉を下げた先生が不憫で仕方ない。
「 先生に迷惑かけちゃ
だめですよ・・・ 」
「 っつーか、何やってんだよ・・ 」
満足気に頬を緩ませて私を見ている
隣の席の彼に私と玲央くんが
驚かないわけがなかった。
正直、未だに冗談だと思っている。
クラス替えの張り紙を玲央くんと見に行って
この教室に来て、それからずっと
見ないようにしていたけど・・・。