Black Beast.
「 玲央が柚菜ちゃんの隣なら
俺だっていいだろー? 」
「 ・・・・はぁ 」
玲央くんは溜息を零し、
”もう知らねぇ”と腕を組み
目を閉じてしまった。
静まり返っている教室に響き渡る
やたらと元気なその声は
この教室には居るはずのない・・・というか、
居てはいけない人の声で。
「 ここで、何をしてるんですか・・・ 」
聞かなくても、分かってはいるけど。
もしかしたら冗談かもしれないし・・・
冗談だと言ってほしい。
「 何って、”新しいクラスメート”。
これから2年間、よろしくね? 」
「 ・・・・・うそ・・・ 」
手を差し出した彼の
見慣れた笑顔に寒気がした。
「 嘘だと思いたいのは俺の方だよ・・・ 」
「 わっ!!!! 」
「 そんなにビビらないでよ・・・ 」
突然振り返った前の席に座っていた彼は
どうやら落ち込んでいるらしく、
いつもの悪戯を楽しむ彼からは
想像できないくらい暗かった。