Black Beast.
「 本当に何やってんだよ! 」
「 言わなくても分かるだろ? 」
新しいクラスメートがそそくさと
教室から出て行く中、私も
さっさと帰ろうと席を立つと
寝ていたはずの玲央くんに腕を掴まれた。
「 お前ら、バカだったのか 」
”帰るな”と目で私に言いながら、
呆れた顔でそう言った。
「 仕方ないだろ・・・。
出席日数足りなかったんだよ 」
「 俺は成績の方も足りなかったよ? 」
・・・・まぁ、ありえない話じゃない。
誰でも進級できるわけじゃないし、
ほとんど授業に出ていなかったような
気がする玲央くんが普通に
進級できているのが不思議に思える。
「 まぁ、そういうことだから
これから俺のことは名前で呼んでね? 」
「 ・・・・え? 」
「 今まで”桜井くん”だったでしょ?
もう先輩と後輩じゃないんだし、
名前で呼んでね? 」
そもそも、誰が何年だったのかすら
私は知らなかった。
馴れ馴れしく誰でも名前で呼ぶことが
できなかっただけで、先輩とか後輩を
気にしていたわけじゃないんだけど・・・
大勇くんのキラキラした眼差しに
首を縦に振るしかなかった。