Black Beast.
正直、玲央くんがどうして
怒ってるのかは分からない。
心当たりがあるとするなら、
手を振り払ったこと。
だけど、それだけで怒るなら
相当な短気だ。
「 ・・・・・チッ 」
「 あ、の・・・? 」
「 そういえば、柚菜ちゃんさー、
俺らに敬語使わなくてもいいからね? 」
「 え? 」
「 他人みたいじゃん。
俺らもう仲良しなんだしさ? 」
・・・・仲良し、なんだろうか。
っていうか、玲央くんの舌打ちは
無視してもいいんだろうか。
未だに感じるはずのない視線が
突き刺さってる気がしてならない。
身の危険を感じる気がする。
「 ──────────柚菜 」
可笑しな光景を前に、玲央くんは
表情1つ変えずに私の名前を呼んだ。
・・・・その声が少し、寂しそうに
聞こえたのは私だけなのかな・・・?