Black Beast.
「 んー、まぁ色々と・・・。
アンタ、災難だったな 」
「 ・・・・ッ 」
「 ?・・・そんなに怖かったか? 」
ブレザーの制服の下に着た白色の
パーカーの帽子を深く被った彼は
間近に来て、下から見上げてやっと
表情が見えた。
目力だけで人一人をなんとか出来そうなくらい鋭い目つきで私を見下ろした彼は固まった私の肩をぽんっと叩いた。
「 おい。お前大丈夫か? 」
見た目の割りに優しい人なのか、
確実に顔色が悪くなっている私の
顔を覗き込んできた。
・・・・優しい人だって分かる・・けど・・・
やっぱり怖いものは怖い!
「 これでも食っとけ 」
「 っげほ・・・ッ 」
”大丈夫です”と返事の代わりに
首を縦に振った途端、彼が私の口に
棒つきキャンディを突っ込んで、
満足気に口元を歪めた。
「 つーか、さっさと行くぞ。
校門に客って言っただろ 」
「 ・・・・あ、忘れてた 」