Black Beast.
机の中のものを適当に鞄に入れて
私を睨んでいる彼に見向きもせず
教室を出ようとドアの方へ足を向けた。
「 ちょっ・・・柚菜ちゃん! 」
希くんの声が少し
焦っているような気がした。
ここで私が怒って帰ったら
更に面倒なことになるのは
なんとなく分かっていたけど、
足は止められなかった。
私は、ここに居ちゃいけない。
そんな気がした。
元々なんの関わりもなかった人たちが
私の中で”当たり前”の存在になっていく。
・・・それが怖い。
────────────ドサッ
「 ・・・泣いてんの? 」
耳の奥、頭の芯が熱い。
視界が真っ暗になって、
気付いたら鞄を落としていた。