Black Beast.
いつの間に後ろに居たのか、
いつ、”それ”に気付いたのか、
聞きたいことは山ほどある。
私にしか聞こえてなさそうな
小さな声に、体が震えた。
同時に、目元を覆っていた手を
私の涙が濡らしていた。
「 バカ共、帰るぞ 」
「 璃玖もバカだろ!? 」
「 柚菜ちゃん、また明日ね 」
「 ・・・玲央も、明日な 」
「 柚菜ちゃん、ばんご・・・ってぇ 」
璃玖くんの一言で、みんなが
教室から出て行った。
痛そうな希くんの声の後、
ドアが閉まる音がして、
みんなの声が遠のいて行った。
「 ・・・なんで 」
沈黙を破ったのは私だった。
後ろから抱きしめられて居るせいで
逃げられない。
だけど、目元を覆っている手のおかげで
顔は見えない。
聞くなら、今だ。