Black Beast.
「 ・・・なに? 」
「 なんで、怒るの? 」
正直、心地いい玲央くんの鼓動と体温に
私が怒っていたことなんて
どうでもよくなっていた。
「 分かんねーの? 」
「 分からないよ! 」
思考が無茶苦茶になっていた。
さっきまでどうやって玲央くんに
接していたのか分からなくなって、
気持ちをぶつけるように声を荒げた。
「 ・・・・・はぁ 」
溜息なんてあまり気にならなかったのに、
なんでか涙が溢れてきて、悔しくて、
胸が苦しくて、口内を思いっきり噛んだ。
痛みと共に鉄の味が口の中いっぱいに
広がっていく。
「 柚菜は、俺のなに? 」
「 ・・・・え? 」
「 昨日のこと、もう忘れた? 」