Black Beast.
本当に分からなくて、
彼から目を逸らしてしまった。
私たちしかいない教室に
小さな舌打ちが響き渡って、
ガッと両手で顔を固定されて
そのままグッと上を向かされた。
「 ッ・・・・!? 」
私の態度が、彼を更に
怒らせていることは分かってる。
それでも、焦れば焦るほど
思考は無茶苦茶に乱れていくだけで、
答えなんて見つけられなかった。
「 ご、ごめんなさ・・・っ 」
「 こうしねーとお前は俺の目を
見ないのか?
自然と俺と距離とってたくせに
すずには自分から抱きつくのか?
後ろから大勇が抱きついてきても
お前は何も感じないのか? 」
「 ・・・え?・・・え? 」
思考が乱される。
息さえうまくできなくなる。
私を真っ直ぐ見て、
真っ直ぐ気持ちをぶつけてくる。
ボロボロと零れる涙が
再度彼の手を濡らしていく。
「 ・・・・・ごめんなさい 」
力の入らない手を、彼の手に添えて
今度は彼を真っ直ぐ見た。